医学的な問題と労務問題が複合し、対応に困っている

メンタル不調を抱える従業員への対応では、健康上の配慮と人事労務上の対応を同時に求められることがあります。本人から業務軽減や配置転換を希望されたものの、どこまで対応すべきか判断できない、体調不良の訴えと遅刻・欠勤、業務上のミス、対人トラブルなどが重なり、対応方針が定まらないといったケースです。
こうした状況で、すべてを病気によるものとして扱えば、必要な業務指導や労務管理が行いにくくなることがあります。一方、健康状態を十分に確認せず、勤務態度や本人の性格だけの問題として対応すると、不調の悪化や職場での混乱につながる可能性があります。
医学的な問題と労務問題が複合している場合には、それぞれを分けて整理したうえで、両者の整合性を図ることが重要です。
メンタル不調者の就業配慮・配置転換に困る
メンタル不調者への就業上の配慮には、残業や出張の制限、業務量の軽減、勤務時間の調整、業務内容の変更などがあります。場合によっては、配置転換が選択肢となることもあります。
ただし、診断書に「業務軽減が必要」「配置転換が望ましい」と記載されていても、具体的に何をどの程度変更すべきかが分からないことがあります。また、就業上の配慮は、本人の希望をすべて受け入れることと同義ではありません。症状や治療状況、担当業務、職場の安全、会社として実施可能な範囲を踏まえ、必要性と妥当性を検討する必要があります。
産業医は、本人との面談や主治医からの情報、会社から提供された業務内容や勤務状況をもとに、就業継続の可否と必要な配慮を医学的に評価します。配慮を実施する場合には、内容だけでなく、実施期間や見直しの時期も明確にすることが重要です。産業医の意見を踏まえ、実際の人事措置は会社が就業規則や組織の状況に基づいて判断します。
いわゆる「問題社員」への対応に困っている
欠勤や遅刻を繰り返す、業務上の指示に従わない、周囲とのトラブルが続く、会社への要求が増えるなど、いわゆる「問題社員」への対応において、本人からメンタル不調を訴えられることがあります。
このような場合は、最初から病気または勤務態度のどちらか一方に原因を求めるのではなく、客観的な事実を整理することが大切です。そのうえで、健康上の配慮が必要な部分と、業務指導や職場のルールに基づいて対応すべき部分を切り分けます。病気があることによって、すべての言動が免責されるわけではありませんが、必要な医学的評価を行わないまま労務対応を進めることも適切ではありません。
当事務所では、精神科専門医である産業医と大手企業人事経験者が連携し、医学的な評価と労務管理上の課題をそれぞれの専門的な視点から整理します。本人への配慮と会社として必要な対応の境界を明確にし、現場で実行可能な対応方針をご提案します。複雑化したケースだけでなく、対応の初期段階からご相談いただけます。
メンタル不調と労務問題が複雑に絡むケースについては、精神科専門医によるスポット相談にも対応しています。
